日本酒にハマったきっかけ|ビール派だった私が完全に沼にはまった話

正直、つい2年前まで日本酒なんてまったく興味がなかった。居酒屋に行けばとりあえずビール、ちょっといい気分の日はハイボール、そんな感じの人間だった。日本酒って「おじさんが飲むもの」とか「なんか辛くてきつい」とかいうイメージが強くて、自分から頼もうと思ったことが一度もなかったんだよね。それがいまでは休日に酒屋を巡って、蔵元のSNSをフォローして、冷蔵庫に常時3〜4本ストックしている状態になっている。自分でもびっくりだ。今日はそのきっかけと、ハマっていく過程を正直に書いてみようと思う。

すべては友人に連れて行かれた日本酒バーから始まった

きっかけはシンプルで、仲の良い友人に「絶対好きになるから」と半ば強引に連れて行かれた日本酒専門バーだった。渋谷の路地裏にある小さな店で、カウンターが8席しかないような場所。最初は「まあ付き合いで1杯飲むか」くらいの気持ちだった。

そこでマスターに「日本酒苦手なんですよね」と正直に言ったら、「じゃあこれ飲んでみて」と出してくれたのが新政酒造の「Colors」シリーズの一本だった。口に含んだ瞬間、「あれ、これ日本酒?」って思わず声に出してしまったくらい衝撃だった。フルーティーで酸味があって、なんというか白ワインに近い感覚。日本酒ってこんな味もあるのか、と完全に固定観念が壊れた瞬間だったと思う。

その夜だけで4〜5種類飲み比べさせてもらって、それぞれ全然違う味がすることに純粋に驚いた。日本酒って全部同じ味だと思っていたのが、ほんとに恥ずかしい話だ。

「純米」「吟醸」「生酛」…ラベルを読むのが楽しくなった

バーに行った翌週、さっそく近所の酒屋に行ってみた。棚に並んでいる瓶を見ると、ラベルに「純米大吟醸」とか「山廃仕込み」とか「無濾過生原酒」とか、知らない言葉がたくさん書いてある。最初はまったく意味がわからなかったけど、なんか気になって調べ始めたのがよくなかった(よかった)。

純米・本醸造・吟醸という分類から始まって、精米歩合の話、火入れの有無、酵母の種類、水の硬軟……掘れば掘るほど奥が深い世界が広がっていて、完全に沼だと気づいたのは1ヶ月後くらいだった。

特に「生酛(きもと)造り」と「山廃(やまはい)造り」の違いを調べていたとき、江戸時代から続く製法の話になって、歴史や文化まで芋づる式に興味が出てきた。お酒の勉強をしているのか日本史の勉強をしているのか分からなくなる感覚、あれは楽しかった。ラベルを読むだけで小旅行しているような気分になれるのが日本酒の面白さだと思う。

地元の蔵元を訪ねたら、日本酒の見え方が変わった

ハマり始めて3ヶ月くらい経ったころ、思い切って埼玉の小さな蔵元に見学に行ってみた。事前予約が必要なところで、少し緊張したけど、杜氏さんが丁寧に案内してくれた。

麹室(こうじむろ)の中の温度感、発酵タンクのにおい、瓶詰めのラインを見ていると、一本のお酒ができるまでにこれだけの手間と時間がかかっているんだと、リアルに感じられた。米を蒸して、麹をつけて、仕込んで、搾って、瓶詰めするまで最低でも数ヶ月かかる。それが1000円台から買えるんだから、むしろ安すぎるんじゃないかと思えてきた。

その日に試飲させてもらったしぼりたての生酒は、今まで飲んだどの日本酒より美味しかった。新鮮さが全然違うし、蔵で飲むという体験込みで特別な味がした。蔵見学は絶対にやった方がいいと思う。日本酒の解像度が一気に上がる。

料理との組み合わせで無限に楽しめることを知った

日本酒にハマってから気づいたことのひとつが、料理との相性の幅広さだ。最初は「日本酒=和食」のイメージだったけど、全然そんなことはない。

例えばスパークリング日本酒はチーズやカルパッチョと合うし、燗酒にした純米酒はポトフやシチューにも意外と合う。酸味が強い自然派系の日本酒はイタリアンとも相性がいいし、甘口の古酒はチョコレートとのペアリングで化ける。

食中酒としての懐の深さは、ビールやワインに負けていないどころか、むしろ日本の料理文化に根ざしている分、守備範囲が広いとすら感じる。家で料理を作りながら、「今日の献立には何を合わせようか」と考える時間が増えて、料理自体も以前より楽しくなった。日本酒がきっかけで料理好きになったというのは、自分でも予想外の展開だった。

日本酒沼はまだまだ深い、それが楽しい

いまでも飲んだことのない銘柄の方が圧倒的に多いし、各都道府県に有名な蔵元がある。全国に約1400の酒蔵があると聞いたとき、「一生かけても飲み切れないな」と思ったけど、それがまた楽しかったりする。

最近は飲み比べセットを取り寄せるのにはまっていて、地方の小さな蔵元が出している限定品とか、季節ごとの新酒とかを試すのが週末の楽しみになっている。日本酒って四季と密接に関わっているから、1年を通して楽しみが途切れない。春は新酒、夏は冷やして生酒、秋はひやおろし、冬は燗酒と、季節ごとに飲み方が変わるのがいい。

日本酒にハマったきっかけは友人に連れて行かれたバーの一杯だったけど、あの日断らなくて本当によかったと思っている。苦手意識があっても、まず一口飲んでみることが全てのスタートだと思う。もし「なんとなく興味はあるけど…」と思っている人がいたら、ぜひ日本酒専門のバーか酒屋のスタッフに正直に話しかけてみてほしい。あなたに合う一本が、絶対にどこかにあるはずだ。

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