最近読んで人生観が変わった本――30代が本気でおすすめする1冊
正直に言うと、最近ちょっと人生に詰まってた。仕事はそこそこうまくいってるけど、なんか毎日が惰性で回ってる感じ。「これでいいのかな」ってぼんやり思いながら、通勤電車で無意識にスマホをスクロールする日々。そんなとき、友人に勧められて手に取ったのが『サピエンス全史』だった。上下巻でめちゃくちゃ分厚いし、最初は「読み切れるかな」って半信半疑だったんだけど、読み始めたら止まらなくて。気づいたら週末2日でほぼ読破してた。読み終わったあと、しばらく呆然としてたくらい、自分の中の何かがひっくり返った感覚があった。
そもそも『サピエンス全史』ってどんな本?
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが書いた本で、ホモ・サピエンス、つまり人類の誕生から現代に至るまでの約7万年の歴史を俯瞰するという、とんでもないスケールの一冊だ。歴史の教科書みたいに固くなくて、むしろ「人類ってこんなに面白いのか」と思えるくらい語り口が軽快でテンポがいい。認知革命・農業革命・科学革命という3つの大きな転換点を軸に、人類がどうやって地球を支配するに至ったかを解き明かしていく。「歴史の本か…」と思ってたけど、読んでみると哲学でもあり、社会学でもあり、自己啓発にもなってて、ジャンルの枠を軽々と超えてくる本だった。
「虚構を信じる力」という衝撃のアイデア
この本で一番ぶっ刺さったのが、「人間が他の動物と違うのは、虚構を信じられるからだ」というハラリの主張だ。お金、国家、法律、会社、宗教――これらは全部、人間が「みんなで信じることにした話」に過ぎない、というわけだ。チンパンジーはバナナや仲間のために動くけど、「会社のビジョン」とか「国家の繁栄」のために命を懸けたりはしない。人間だけが、実在しない概念のために本気になれる。この「虚構」こそが人類の最大の武器だとハラリは言う。読んだ瞬間、「あ、自分が当たり前だと思ってたことって、全部フィクションだったんだ」って気づいてちょっとゾワッとした。お金を稼ぐために必死になってる自分って、「みんなが価値があると信じてる紙切れ」を追いかけてるんだよな、と。
農業革命は「人類最大の詐欺」だった?
もう一つ衝撃だったのが、農業革命についての話だ。農業が始まって人類は豊かになった、というのが一般的なイメージだと思うけど、ハラリはそれを真っ向から否定する。農業革命によって人類の総数は爆発的に増えたけど、個々の人間の生活はむしろ悪化したというんだ。狩猟採集時代の人間は多様な食料を食べ、1日数時間働けば生活できた。一方、農耕民は麦や米に依存して栄養が偏り、重労働で腰を痛め、飢饉のリスクにさらされ続けた。「豊かになったのは人類全体であって、個人ではない」という視点は、現代にもそのまま当てはまると思う。会社の売上は伸びてるのに、働く個人はなぜか疲弊してる、みたいな構図、どこかで見覚えがないか。
読んで自分の「常識」がリセットされた感覚
この本を読んで一番変わったのは、「当たり前」を疑う習慣だと思う。毎朝満員電車に乗って会社に行って、数字を追いかけて、週末だけちょっと息抜きして、また月曜を迎える。そのサイクルを「普通の生活」として受け入れてたけど、7万年の人類史のスケールで見ると、これってほんの数十年で出来上がった超ローカルなルールに過ぎないんだよな、と気づいた。「こうしなければいけない」という感覚が、実はすごく薄れた。どんな価値観も、どんな社会制度も、人間が「そういうことにしよう」と決めたフィクションなんだとしたら、自分がしんどいと感じるルールは、変えていい余地があるはずだ、って思えるようになった。これは精神的にかなりラクになる発見だった。
読書って、こんなにコスパのいい自己変革だったっけ
『サピエンス全史』を読んでもう一つ思ったのが、「本ってすごくコスパがいい」という当たり前のことだ。数千円で、何年もかけて研究してきた学者の思考の核心を追体験できる。しかも自分のペースで、何度でも読み返せる。セミナーやコーチングにお金を使う前に、まず本を読んだほうがいいんじゃないかと本気で思い始めてる。良書一冊は、ちょっとした人生相談より遥かに視野を広げてくれることがある、と実感した。最近は意識的に「ちょっと難しそう」と思う本にも手を出すようにしている。難しいと感じる本ほど、読後に残るものが多い気がするから。
『サピエンス全史』を読んでから、日常のあらゆることが少し違って見えるようになった。ニュースを見ても、会社の会議に出ても、「これって誰かが決めたフィクションだよな」という視点が自然と浮かぶようになった。それが悲観的な感覚じゃなくて、むしろ「だったら自分はどう選ぶか」という主体性につながってきてる。人生観が変わるって、もっとドラマチックなことだと思ってたけど、実際はこういう静かな地殻変動みたいなものなんだと思う。次は同じハラリの『ホモ・デウス』を読む予定だ。この調子でいくと、今年は読書の年になりそうな予感がしている。
中学生からテニスを始め、現在テニスコーチもしています。