最近見て心に刺さった映画の話——久しぶりに映画で泣いた夜のこと

正直、最近は映画をちゃんと見る習慣がなくなっていた。仕事終わりにサブスクを開いても、なんとなくダラダラと選んでそのまま寝落ち、みたいなことが続いていて。でも先週末、ふと「今夜は最後まで見るぞ」と決めて再生した一本が、想像以上に心にずっしりきた。見終わったあと、しばらくソファから動けなかったくらい。そういう経験って久しぶりだったから、ここに書き残しておきたいと思った。

選んだのは、全然期待していなかった作品だった

見たのは「パスト ライブス/再会」という映画だ。韓国系カナダ人の監督、セリーン・ソンの長編デビュー作で、2023年に公開されたやつ。タイトルだけ見てなんとなく恋愛映画かなと思っていたし、正直そこまで期待していなかった。でも評価が異様に高かったのが気になって、軽い気持ちで再生した。

最初の10分くらいは「静かだな」という印象。派手な演出もなく、ただ子どもたちが街を歩いているシーンが続く。でもそこからじわじわと引き込まれていって、気づいたら画面から目が離せなくなっていた。「期待しないで見た映画ほど刺さる」ってよく聞くけど、本当にそうだなと思った瞬間だった。

ストーリーよりも「感情の解像度」がすごかった

あらすじを簡単に言うと、幼なじみの男女が数十年の時を経て再会する話なんだけど、そんな一言じゃ全然説明できない。この映画が描いているのは、起きた出来事よりも「起きなかった出来事」への感情だと思う。

「もしあのとき違う選択をしていたら」という感覚、誰でも一度はあると思う。でもそれをここまで繊細に、セリフで説明しすぎずに描いた映画ってあまり見たことがなかった。登場人物の表情や間の取り方だけで、全部伝わってくる感じがして、それがたまらなくよかった。見終わったあと、自分の過去の選択とか、会えなくなった人のことをぼんやり考えてしまった。

クライマックスで声を出して泣いた

映画で泣くこと自体は別に珍しくないんだけど、今回はちょっと違った。声が出た。正確には「あ、やばい」と思ってから涙が止まらなくなった。クライマックスのあるシーンで、主人公が言葉を詰まらせながら話すシーンがあって、そこで完全に持っていかれた。

泣ける映画って、悲しい出来事が起きるから泣けるわけじゃないんだなとあらためて思った。この映画には、誰も悪者がいないし、劇的な事件も起きない。それなのに泣けるのは、描かれている感情が「わかる」からだと思う。説明できないけど「わかる」という体験が、映画の一番の醍醐味なのかもしれない。久しぶりにそれを味わえた気がして、映画ってやっぱりすごいなと素直に思った。

映画を見る行為そのものを見直した

この映画を見て、自分の映画の見方が少し変わった気がする。最近はどうしても「話題作を消化する」みたいな感覚で見ていたと思う。サブスクに新作が来たから見る、友達が勧めたから見る、みたいな感じで。でもそれって映画と向き合っているというより、コンテンツをこなしているだけだったかもしれない。

今回みたいに、ちゃんと照明を落として、スマホを遠ざけて、最後まで集中して見る。それだけで全然体験が変わるんだと実感した。映画は「見る環境」も込みで一つの体験なんだなと思ったし、今後はもう少し丁寧に向き合いたいと思う。たまにはBlu-rayで買って手元に置いておきたい作品もあるなと感じた。

見た後に人と話したくなる映画の良さ

「パスト ライブス」を見た翌日、友達にLINEで「この映画見た?」って聞いてしまった。見ていなかったんだけど、それでも「こんなシーンがあってさ」と話すだけで自分の中の感情が整理されていく感じがあった。

映画って、一人で見る体験だけど、見た後に誰かと話したくなるものが本当にいい映画だと思う。感想を共有したくなる、あのシーンどう思った?って聞きたくなる、そういう衝動が起きるかどうかが、自分にとって「刺さった映画かどうか」の基準になってきた気がする。そういう意味でも、この映画は久しぶりにヒットだった。

久しぶりに映画に真剣に向き合った週末だった。毎週じゃなくていいから、月に一度くらいはこういう夜を作りたいと思う。スマホを置いて、部屋を暗くして、一本の映画とちゃんと向き合う時間。それだけで気持ちの密度がぐっと上がる気がする。「パスト ライブス」をまだ見ていない人には、ぜひ何も調べずに見てほしい。予備知識ゼロで見たほうが絶対にいい映画だから。次は何を見ようか、またゆっくり探してみるつもりだ。

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