何周も見てしまうドラマの話——あの沼、抜け出せる気がしない
ふと気づいたら、また同じドラマを最初から再生していた。そんな経験、ない? 新しいドラマは毎シーズン山ほど出てくるのに、なぜか手が伸びるのは「もう結末を知ってる」あのドラマだったりする。最近の自分がまさにそれで、気づいたら今年だけで同じ作品を3周していた。なんで何度も見てしまうんだろう、というのをちょっとじっくり掘り下げてみたくなったので、今日はその話をしようと思う。
初見では絶対に拾えていなかった伏線に気づく快感
何周もするドラマの醍醐味として、まず真っ先に挙げたいのがこれだ。1周目は純粋にストーリーを追うのに必死で、細かいセリフや背景の小道具まで気が回らないことが多い。でも2周目、3周目になってくると、「あ、この時点でもうこの人の目が泳いでる」とか「このセリフ、後のあのシーンへの布石だったのか」という発見が連発する。
この感覚が本当に気持ちいい。まるでパズルのピースが一個ずつはまっていくような感じで、作り手がどれだけ緻密に計算して作っていたかがわかる。伏線回収のうまいドラマほど何度でも見たくなるのは、たぶんそういうことだと思う。知ってるからこそ楽しめる、という逆説的な面白さがある。特にミステリー系や人間関係が複雑な群像劇は、何周しても新しい発見があるから本当に底なし沼だ。
好きなキャラクターと「もう一度会いたい」という感覚
これは感情的な話になるんだけど、好きなキャラクターに会いたくてまた再生してしまう、という動機も結構大きい。特に最終回が切ない終わり方だったりすると、「でももう一度あの頃に戻りたい」という気持ちで1話を開いてしまう。
フィクションのキャラクターに感情移入しすぎるのもどうかとは思うんだけど、それだけ丁寧に作られたドラマだということでもある。キャラクターへの愛着って、ストーリーの面白さとはまた別の軸で視聴体験を支えていると思う。「この人が幸せになるところをもう一回見たい」「別れのシーンをもう一回ちゃんと見届けたい」という気持ちで再生ボタンを押す夜、割とある。そういうドラマに出会えたこと自体、なんかラッキーだなとも感じる。
BGM・映像・セリフのリズムが「心地よすぎる」問題
内容とは別に、純粋に「見ていて気持ちいい」という理由で何周もしてしまうドラマもある。音楽のセンスが刺さっているとか、映像の色味や撮り方が好みだとか、主演俳優のセリフ回しのリズムが耳に心地いいとか。そういう感覚的な要素って意外と侮れない。
たとえば作業しながら流していても成立するドラマがあって、セリフを聞いているだけで場面が頭に浮かぶくらいになってくる。もはや「見る」というより「浴びる」に近い状態だ。サウンドトラックや劇伴のクオリティが高いドラマって、そういう使い方でも満足度が高い。ただ流しているだけなのに気づいたら画面を凝視していて、「あれ、また最初から見てる」となるのがあるあるだと思う。
人生のステージが変わると、見え方が変わる
これが一番面白いと思っていることなんだけど、同じドラマでも見るタイミングによって刺さるポイントが全然違う。学生のときに見て「面白かった」で終わっていた作品が、社会人になってから見返したら全然別の深みを感じた、なんてこと、本当によくある。
特に仕事や人間関係を扱ったドラマはそうで、当時は「大変そうだな」としか思っていなかったセリフが、自分が同じような経験をしてから見ると胸に刺さりすぎて辛いくらいになる。逆に、昔は「なんでこの人こんな選択するんだろう」と理解できなかったキャラクターの行動が、今なら完全にわかる、ということもある。人生経験と重なるドラマは、見るたびに「自分のどこか」を照らしてくれる鏡みたいな存在になっていくんだと思う。これって本当に豊かなことだよなと感じる。
「次何見よう問題」が解決する安心感
正直なことを言うと、「新しいドラマを探すのが面倒くさい」という消極的な理由で周回が始まることも普通にある。動画配信サービスのトップ画面をスクロールして、何十分も「どれ見ようかな」と悩んだ末に、結局「もうあれでいいや」と既知のドラマを選ぶパターンだ。
これ、ちょっと後ろめたい気持ちになっていたんだけど、最近は別にいいじゃないかと思うようになった。「見慣れた作品に戻る」という選択って、好きな喫茶店に何度も足を運ぶのと同じような、一種の安らぎだと思う。何が起きるかわかっているから、余計な緊張なく没入できる。その日の自分のコンディションによって、新しい刺激が欲しいときもあれば、知ってる世界に帰りたいときもある。どっちも正解だ。
結局のところ、何周も見てしまうドラマって、自分にとってそれだけ大事な作品だということなんだと思う。「また見ちゃった」と気恥ずかしく思う必要なんてなくて、むしろその作品に出会えたことを素直に喜べばいい。これからも新しい出会いは大事にしつつ、何かに疲れたときや「あれが見たいな」という気分のときは、迷わず周回ドラマに戻ろうと思っている。あなたにも、何周でも戻れるドラマが一つくらいあるんじゃないかな。
中学生からテニスを始め、現在テニスコーチもしています。