クラフトビールバーに初めて行った話——知らない世界に足を踏み入れた夜
先月、友人に「絶対好きだと思うから一緒に行こう」と誘われて、近所のクラフトビールバーに初めて足を踏み入れた。正直なところ、それまでビールといえばコンビニで買う大手メーカーのやつで十分だと思ってたし、クラフトビールって名前はよく聞くけどなんか敷居が高そう、というイメージがあった。でも実際に行ってみたら、その夜の体験がかなり衝撃的で、気づいたら2時間以上いたし、帰り道ずっとビールのことを考えてた。そのときのことを書き残しておこうと思う。
お店に入った瞬間の「あ、ここ別世界だ」という感覚
そのお店は駅から徒歩5分くらいの路地裏にあって、外観はこじんまりした木の扉があるだけで、知らなければ絶対通り過ぎてしまうタイプの店構えだった。中に入ると、カウンター席が10席くらい、テーブルが3〜4卓という小さな空間に、壁一面にズラッとタップハンドル(ビールのサーバーのやつ)が並んでいた。数えたら20種類以上あって、まずそこで軽く圧倒された。
バーテンダーのお兄さんが「初めてですか?」と気さくに声をかけてくれて、「クラフトビールは飲んだことありますか?」と聞いてくれた。「ほぼない」と正直に言ったら、嫌な顔一つせず「じゃあまずは飲みやすいやつから試してみましょう」と言ってくれた。この最初の対応がすごくよくて、クラフトビールバーって怖いところじゃないんだ、というのを最初の5分で理解できた。雰囲気もBGMもゆったりしてて、気負わずに飲める空間だった。
ビールにこんなに種類があるなんて知らなかった
お兄さんが最初に教えてくれたのは、クラフトビールには大きく分けていくつかのスタイルがある、ということだった。IPAとかスタウトとかヴァイツェンとか、名前はなんとなく聞いたことはあるけど、それが何を意味するのかは全然知らなかった。
最初の一杯は「フルーティーで飲みやすいやつ」ということで、ヘイジーIPAというスタイルのビールをすすめてもらった。見た目は濁った黄金色で、香りを嗅いだ瞬間にマンゴーとか柑橘系の甘い香りがふわっときた。飲んでみたら、苦みがほとんどなくてジューシーで、「これ本当にビールか?」ってなった。今まで飲んでたビールと全然違う飲み物みたいで、ビールの概念が一杯で覆された感じがした。
その後、スタウト(黒ビール)も少し試させてもらったら、今度はコーヒーとチョコレートみたいな香りがして、これも全然別の世界だった。ビールって実は幅がとんでもなく広い飲み物なんだ、というのをこの日初めてリアルに理解した。
食べ物とのペアリングが思った以上に面白い
せっかくなのでフードも頼んでみた。そのお店はビールに合うおつまみがいくつかあって、チーズの盛り合わせと、スパイシーなソーセージを選んだ。お兄さんが「このチーズにはさっきのヘイジーIPAが合いますよ」と教えてくれたので試してみたら、確かにフルーティーなビールとクリーミーなチーズが合わさって全体が丸くなる感じがした。
ペアリングなんてワインだけの話だと思ってたけど、ビールでも全然あるんだと知って純粋に驚いた。ソーセージとスタウトの組み合わせも試したら、ビールの苦みがスパイシーさをうまく受け止めてくれる感じがして、一口ごとにリセットされていく感覚が楽しかった。食べ物と合わせて飲むことで、ビールの味がさらに引き立つというのは、今まで全く意識してなかった視点だった。居酒屋でビールを「とりあえず」で頼んでた自分とはもう別人の気分だった。
バーテンダーさんとの会話が予想外に楽しかった
クラフトビールバーに行く前は、なんとなくオシャレな空間で黙って飲む感じのところかな、と思ってた。でも実際は全然違って、カウンター越しにバーテンダーのお兄さんといろいろ話しながら飲む時間がめちゃくちゃ楽しかった。
どこのブルワリー(醸造所)のビールか、どういうこだわりで作られているか、このビールのホップはどこ産か、みたいな話を聞いてると、一杯のビールの裏にすごい物語がある気がして面白かった。国内だけじゃなくてアメリカやベルギー、イギリスとかのビールもあって、飲みながら「これはどんな地域のやつ?」って聞くだけで話が広がっていく。
友人も私も、もともとそんなにお酒に詳しいわけじゃないけど、お兄さんが全然上から目線じゃなくて対等に話してくれたので、気づいたらずっとしゃべってた。クラフトビールバーって、お酒を通じて人と話す場所でもあるんだな、と感じた。
初心者が行くときに知っておくとよかったこと
実際に行ってみて、「事前にこれを知ってたらもっとスムーズだったな」というのがいくつかあった。まず、最初から好みを伝えたほうがいい。「苦いのが苦手」「フルーティーなのが好き」「甘いのはNG」みたいに言うと、バーテンダーさんが絞り込んでくれる。難しい知識は全く要らなくて、普段どんな飲み物が好きかを話すだけで十分だった。
あと、少量で試させてもらえる場合もあるので、「少し試飲できますか?」って聞いてみるのもあり。お店によるけど、あのお店は気前よく対応してくれた。値段はコンビニのビールより高いけど、1杯800〜1200円くらいが相場で、クオリティや体験を考えると全然納得できる金額だと思った。あとは、あまりたくさん飲もうとせず、2〜3杯を丁寧に飲むほうが楽しめる気がする。量より質の飲み方が、クラフトビールには合ってると思った。
あの夜以来、クラフトビールへの見方が完全に変わった。「ビールってどれも同じでしょ」と思ってた自分が恥ずかしいくらい、世界が広がった感じがある。まだ全然詳しくないし、スタイルの違いもうろ覚えだけど、それでもまた行きたいと思ってるのは確かだ。次行くときはIPAとスタウト以外のスタイルも試してみたいし、別のお店にも行ってみたい。クラフトビールにハマる人の気持ちが、ちょっとわかってきた気がする。気になってる人がいたら、難しく考えずとりあえず一度足を運んでみてほしい。きっと知らなかった扉が開く。
中学生からテニスを始め、現在テニスコーチもしています。